かしわ
かしわは鶏もも肉、酒、塩、砂糖、醤油を使います。
塩味は本当は塩でも良いのですが、色が濃く付きすぎるので一部塩分に置き換えることできれいな茶色に仕上げます。
フライパンに油を大さじ一程度ひき、火は最大火力で焼き上げていきます。
まずは皮目を下にしてかしわを焼いていきます。
ひっくり返して裏面も焼きます。
この際に皮目からたくさん箸を刺して水分を鶏肉から飛ばし、かつ火がしっかり入るように焼きます。
油が鳥から出きったあとで油を捨ててしまいます。鳥のエキスよりもさっぱりと仕上げることを優先します。
油を流し、水で洗ってもう一度流すくらいしっかり流していきます。
水を少し入れた状態で火にかけ、酒を鶏もも肉の下面が浸るくらいにします。
今回は砂糖大さじ3、塩大さじ半分、醤油ひとまわし程度いれました。
中に火が入るようにしつつ、焦げないようによく鶏肉を動かします。
皮目は火が入るように引き続き箸で皮目を刺していきます。
概ね10分から15分程度で完成です、
端の方を少し割いて日が入っているかどうかキチンと確認しましょう。
天ぷらも水分のコントロールが肝要です。全ての世界のことは繋がっています。
天ぷらの世界は深遠なのです。
鯛しゃぶとかしわ、玉子焼き
先日鯛しゃぶ、かしわ、玉子焼きの作り方を教えてもらったのでちょっとまとめてみようと思います。
もちろんすぐには出来ませんでした。しかも鯛については魚の目利きから三枚おろしにするところなど関連する手間が多く、一朝一夕にできるものではありません。
鯛しゃぶ
鯛しゃぶは身の表面がほろほろになる頃が食べごろで薄く切りつけないと中の身の部分が口の中で大きく残ってしまうため、ぬるい刺し身を食べているようになります。
3枚に下ろすところから経験できたので記載していこうと思います。写真も取れたら良かったのですが見て聞いてやるので必死で記録は残せませんでした。。。
まず、鯛を3枚におろします。頭はすでに落としてあるもので、鱗も引いてあったのでおろす下ごしらえは済んでいました。それでも大汗かきながらでしたので魚を捌くのはよほどのセンスが無い限り大変です。
使う包丁は出刃包丁です、
まず、お腹側、腹びれギリギリのところに刃を立てて骨に当たるまで包丁を入れます。そこから骨に沿って包丁を寝かせ、中骨まで切っていきます。骨から浮いてしまうと身が残りますし、立てすぎると骨の下に刃が入ってしまいます。また、鯛は背びれ、腹びれが鋭く、切りつけに集中するあまり手を指してしまうことがあります。太くて清潔ではないので(食べられるけど消毒された針とかではないですからね)膿んでしまったりします。そこで包丁の先を使い、右手は鯛との距離を取るのがポイントです。左手は気をつけましょう(笑)
また包丁は寝かせるときに軸の回転だけではなく包丁自体の角度を地面と水平にせねばなりません。具体的には手元に力が入ってしまい、自分側の包丁がやや浮いてしまい、鯛の手前側の身がが骨から外れてしまうのです。なかなか伝えづらいのですが、とにかく地面と水平近くに包丁を調整するのが大事です。
腹が終わったら次は背側です。同じように骨から身をはがします。ギリギリ最後は包丁を腹から背に通し、尻尾の方まで切って剥がしておきます。あとは中骨に沿って身を持ち上げながらついている部分を切って外します。根元の方は骨が残るので包丁の根の方の刃で叩いて骨を折って外します。
反対も同様に行い、骨に身が残らないようにするのが大事です。
下ろしたものにはまだ骨がついています。腹骨を浮かして骨に沿って包丁をいれ、腹骨を外します。
その後、叩いて追った中骨の残りがくっついているのでV字に骨に沿って包丁を入れ、身から外します。
これで捌くのは終わりです。
次に切りつけですが、カットするというよりは削いで切っていく感じです。
刺身包丁を使います。包丁を斜めに立ててその重みで切りつける側と柵とに小さな段差を作ります。その自然に取れてくる部分のみ包丁の重みで引ききっていき、皮に到達したら立てて切り落とします。その連続です。
幅はおおよそ一ミリから2ミリでしょうか。半透明というか透明を目指します。
余計な力が入ると身がボソボソになって、柵の鯛の位置がズレていきます。
お皿には円を描くように皮目のオモテウラを意識してキレイに並べます。
つらつら書いてきましたが流石にすぐにできるものではありません。
地元に戻ってからも研鑽を積まねばなりません。
鯛しゃぶの他の具材はネギ、エリンギ、春菊、葛きり、白菜でした。
湯は沸騰する程度にしておき、さっと湯がいて表面の身が少しホロホロした頃にすぐに引き上げてポン酢とゴマドレを混ぜたもので食べました。
長くなってきたのでかしわ、玉子焼きは別記事に記載しようと思います。
天ぷらのみならず和食の世界は深遠なのです。
串揚げ
串揚げに出会ったため緊急投稿です。
串揚げは種に衣をつけ、その上にパン粉(かな?)をつけてあげるものです。
以前にも江戸時代頃につけ揚げとして天ぷらが関西で流行していたと投稿しておりますが串揚げがそれに当たるのかもしれません。
大きく違うのは衣の上にさらにパン粉(かな?)をつけること。
私の見た店では衣をつけたあと網の上で1分2分静置し余計な衣を落としてからパン粉(かな?)をつけてあげていました。
揚げ時間や揚げる温度は見えず残念ながらわかりませんが音からすると天ぷらとそう変わらない音だと思います。
衣は氷を入れたバットの上に一回り小さいバットを置いてしっかり衣が冷えるようにしていました。グルテンの発生を抑える努力でしょう。
どこに天ぷらをおいしくするヒントが隠れているかわかりません。串揚げ自体にも俄然興味が湧いてきました。
やはり天ぷらの世界は深遠なのです
打ち粉について
打ち粉の役割は基本的に天種と衣の接着剤の役割を果たします。しかし一緒に揚がる訳でありその材質が揚げ上がりに影響することは間違いありません。
基本的には衣を作る際に振るった小麦粉をそのまま用います。粒子が細かく天種にベタッとつかないようになっています。しかし、水分の多い天種では粉が付きすぎてしまい、揚げ上がりに粉が残ってしまうこともあるため、余計な粉は箸で叩いて落とす、刷毛ではくなどの処理を行わなければなりません。
また、ピーマンやナスなど打ち粉が皮目には付きづらく身には付きやすい天種もあり、天種のなかでもどの部位にどの程度つけていくかを考える必要があります。
実際に用いる粉ですが、絶対に小麦粉を用いる必要はありません。目的が達せられればよいので例えば米粉などを用いても良いのです。
米粉を使うと小麦粉に比べてカラッと揚がります。小麦粉は小麦粉でふわっと揚がる印象で自分の理想の揚げ上がりにあわせて選択することができます。
打ち粉は量としてはごく僅かな要素です。しかし、天種自体にもボリュームがあるわけではなく、その中のさらに衣はごく一部の要素です。
もともとのボリュームが少ない分少しの量が大きく影響してきます。
カクテルの割り方でも同じような話があります。特にショートカクテルは60mlの中で味をすべて調整する必要があり、そのなかの1mlは大きな意味を持つのです。
ほかの世界にも通ずる天ぷらの理念
天ぷらの世界は深遠なのです
箸について
天ぷらで使う箸は2種類あります。
天種を掴む太い木の箸と揚げ箸です。
太い木の箸は天種に打ち粉をつけて衣をつけるために使うもので、天種に対して接する面積が少ないためかける圧が少なくなります。するとつけた衣や打ち粉が剥がれ落ちるリスクが逓減するため衣で全体を包まれた天種が油に直に晒されずに蒸される状態を確保することが出来ます。職人が持っている太い箸にも意味があるのです。
揚げ箸はステンレス性ないし竹が良いようです。衣がついた箸でそのまま揚げると衣が箸について固まってしまい、箸がだんだん太くなってしまいます。また、箸の衣に天種の衣がくっついて剥がれてしまい細かい操作ができません。鉄や竹の箸が推奨されるのは衣がつかずすっと剥がれるからではないかと思います。
橋一つとっても意味があります。
天ぷらの世界は深遠なのです。
油について
油は太白ごま油を使用するお店が多いように思います。焙煎(世に言う胡麻油)は風味が強く素材の繊細な味を殺してしまう可能性があるため焙煎していない太白ごま油を使用しているものと思います。
しかし、油には多くの酒類があります。米油、コーン油、キャノーラ油、えごま油などなど。
これらを選ぶ上で何が大切なのでしょうか。
耐酸化性、耐熱性、それに先程記載した風味だと考えます。
天ぷらはおもに170-200度の高温で天種を揚げます。従って200度以下で発煙してしまう耐熱性の油は天ぷらに向きません。
仮に低温で揚げ始めると衣が固まるのにじかんがかかり、油切れが悪くなってしまうためベタッとした食感になってしまいます。
太白ごま油は通常の油に比べて高価なため、家庭での使用は贅沢に天ぷらを上げたいときに限られます。
通常はキャノーラ油、米油などにごま油を足して風味づけする程度が良いと考えています。
しかし、天ぷらを薄衣でカラリと仕上げるには油もさることながら揚げ手の手技が非常に重要です。
自らの技術不足を油のせいにしてはいけません。
天ぷらの道は深遠なのです。
揚げる前に
天ぷらは高温の油で衣を揚げ、素材に火を入れていく食べ物です。従って、揚げ始めると常に熱が入り続けるため揚げ鍋に集中する必要があります。可能な限り下準備、モノの配置・材料の下ごしらえ・打ち粉や衣の下ごしらえを行わなければなりません。これについて考えていこうと思います。
モノの配置
私は天ぷら近藤のYou Tube動画を見て天ぷらにハマりました。しかし、どの動画を見てもどの店に行っても揚場のモノの配置は概ね変わりません。近藤文夫の「天ぷらの全仕事」にも揚場の配置が記載してありますがほぼどの店も変わりません。
具体的には揚げる人から見て最左翼が材料、そこから右に打ち粉、衣、揚げ鍋です。左から右に手の動線が流れるように工夫されています。また天ぷら自体がテニスで言うフォアハンドで投入することはなく、バックハンドで投入することも関連してくるでしょう。フォアハンドだと言わば押す動作、バックハンドは言わば引く動作です。刺し身を切りつけるときも刺身包丁を一回で引ききってネタを作ります。引く動作は押す動作に比べて余計な力が入らず操作ができるのではないでしょうか。
材料の下ごしらえ
材料の下ごしらえは材料によって異なります。断面が空気に触れることによって変色する天種、乾燥しすぎると旨さがなくなる天種、足の早い天種などがあり、それぞれについて可能な範囲で下準備する他ありません。提供時間に制限がないのが家庭天ぷらの良いところです。また、一回に揚げる種類を限定することで下ごしらえの手間を減らすことができます。ここは家庭の強みが生きてくるかもしれません。
衣、打ち粉の下ごしらえ
衣、打ち粉は如何に粒子を細かく、如何に空気を含ませるかに職人たちは腐心しているようです。自分で揚げていても篩にかけない打ち粉、衣は何だかフリッターのように揚がってしまいます。炭酸水を使って卵水を作ってみても君が気泡と共に湧き上がってきて結局フワッとした揚げ上がりにはなりませんでした。
冷蔵庫で蓋を開けておき小麦粉を乾燥させる、液体窒素をかける、高い位置から篩にかける、など多くの手法があるようで今後も検討を続けていかなければならない部分です。
衣についても水を弱酸性にする、中世にする、天種に応じて濃度をかえるなど工夫の余地があります。皮がついていて滑りやすいもの、衣のつきぐあいにムラが出来てしまうもの、あまり火を入れたくないもの、焦げてしまうが火は入れたいもの、などの用途に応じて使い分けねばなりません。一つのボウルに3箇所違う濃度を作る手法が「天ぷらの全仕事」には乗っていましたが実際はかなり大きなボウルが必要になり家庭では不向きです。ここはYou Tube「天ぷら元吉の天ぷら教室」にあったボウルの表面に小麦粉をかけてそこで濃度調整を行うという手法が適していると考えられます。
薄めないし中間の衣を作っておき必要に応じて小麦粉を追加し表面上で衣を天種につけるのです。そうすると数回ごとに衣の調整ができて便利です。
今回は下ごしらえについて記しました。まだまだ準備段階ですがここまででもこれだけ検討事項があるのです。
天ぷらは深遠なのです。
参考資料)
天ぷらの全仕事 近藤文夫著
You Tube「天ぷら元吉の天ぷら教室」